第280章 小野寺彩音に一目惚れしたの?

個室の病室は広々としていた。

しかしこの瞬間、江沢冬弥はかつてないほどの圧迫感を覚えていた。

危うく自分の心臓にまた問題が起きたのかと錯覚するところだった。でなければ、なぜ急に呼吸ができなくなったのだろうか?

長い沈黙の後、江沢冬弥はようやく声を取り戻し、乾いた声で尋ねた。「どう……いう意味だ?」

「江沢様、お互い賢い人間です。どうしてとぼける必要が?」

朝日が病室に差し込む。陽光の下でも、古賀硯司の表情に優しさの色はなく、あるのはただ、向かうところ敵なしといった鋭さだけだった。

江沢冬弥は無意識に手を上げ、左の心臓あたりに触れた。手の甲の留置針がチクリと痛んだが、まるで感じていな...

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