第301章 ベイビー、あなたには知る権利がある

洛条北兎はただ微笑むだけだった。小野寺彩音のそんな言葉が彼女を脅せるはずもなく、万が一自分に何かあれば、小野寺彩音がその赤子を我が子同然に育てるであろうことを知っていたからだ。

「うん、頑張ってちゃんと生きるから」洛条北兎はそう保証し、小野寺彩音を安心させた。

「加賀庭川が帰国の途についている」古賀硯司が不意に口を開いた。

加賀庭川から電話があったのは、今朝のことだった。

洛条北兎の表情に変化はなく、ただ瞼をかすかに持ち上げて、聞こえているという合図を送っただけだった。

古賀硯司も口数が多い方ではない。小野寺彩音以外の人間や物事について、彼が自ら口を開くこと自体が稀なことだった。

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