第321章 私たちが結婚、ありえない

高橋樹は神崎暁を見つめ、その言葉が嫉妬から出たものであってほしいと、無意識のうちに願っていた。

だが、彼は痛いほど理解している。神崎暁が彼のために嫉妬などするはずがないと。

高橋樹の指先が女の頬を滑り、唇へと至る。「神崎暁、俺は抱きたいんだ」

彼は告げる。「相手はお前だ」

他の女ではなく。

神崎暁は呆気にとられ、あまりに直球な物言いに、バツが悪そうに表情を曇らせた。

「酔ってるの?」

「いいや」

「酔っ払いは決して自分が酔ったとは認めないものよ」

「ああ、なら酔った」

高橋樹は酒に強い。相当な量を流し込んでも苛立ちは消えず、神経が僅かに高揚して心地よくなる程度だった。その微...

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