第324章 彼女は感動するが、彼を愛してはいない

高橋の母君は、苦虫を噛み潰したような顔で言い放った。

「神崎暁。これはわたくし一人の考えではなく、高橋家としての総意ですのよ。これ以上、引き際を弁えないつもりなら、今度恥をかくのは貴女ですわ。他の娘たちと同じように、少しは賢く振る舞うことを望みます」

名門と呼ばれる家柄には、汚れ役の人間が必要だ。そしてその役回りは往々にして女性、つまり「お義母様」が担うことになる。

神崎暁はどこ吹く風といった様子で、薄く微笑んだ。

「ご忠告、感謝します」

他の娘たち?

高橋の母親が、高橋樹の女を処理するために出てきたのは、これが初めてではないということか。


「あいつは……俺と最後まで行...

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