第33章 小野寺彩音、君は兄のもの

まさか古賀硯司が自分を守るために、実の母親に逆らうとは思ってもみなかった。

四季嫦は一瞬呆然とし、やがて呆れて笑い出した。

彼女は震える指で古賀硯司と小野寺彩音を指差す。「一人は隠れようとし、一人は庇おうとする。景舟が生きていたら、決して私にこんな真似はしなかった! お前たちが私をここまで侮辱することも許さなかったはずよ!」

小野寺彩音は頭が痛くなり、できるだけ穏やかに、根気よく言った。「お母様、私たちにそんなつもりは……」

「お前たち? まだ『私たち』ですって? 出て行け! とっとと出て行きなさい!」

四季嫦は玄関を指差し、ヒステリックに叫ぶ。憎悪に満ちた目で小野寺彩音と古賀硯司を...

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