第357章 女子トイレ、一緒に行く?

神崎暁は迷いなく立ち上がり、鞄を掴むとそのまま出口へ向かった。

室内に、死ごとき静寂が落ちる。

神崎暁の口調は決して丁重とは言えなかった。高橋樹の私的補佐を務める高山補佐も、伊達にその地位にいるわけではない。誰もが彼が激昂するか、あるいは痛烈な皮肉の一つでも返すと思ったその瞬間——彼は慌てて彼女を追いかけ、その行く手を遮った。

「ちょ、ちょっと待ってください! 神崎さん……話せばわかるでしょう!」

「高山補佐。ただでさえ不自由な雇われの身で、こんな馬鹿げたトラブルに巻き込まれて……機嫌良くしていられると思いますか?」

神崎暁の瞳には、隠しきれない苛立ちと冷たい光が宿っていた。

「そ...

ログインして続きを読む