第367話 「禁断の恋」ごっこも悪くない

高橋樹の手術が終わったのは、すでに深夜のことだった。

軽度の脳震盪、全身各所の軟部組織挫傷、右手の骨折、肋骨二本の骨折、脾臓からの出血、さらに多数の皮膚裂傷……。

その長々と続く症状のリストを目にして、神崎暁は息が詰まるような思いがした。

命に別状はないとはいえ、完治までの道のりは決して平坦ではないだろう。

「高橋夫人は?」

暁は首を巡らせ、高山補佐に尋ねた。

高山補佐はどこか言い淀むような、微妙な表情を浮かべる。

「社長が峠を越したとわかると、先にお帰りになりました。『一晩付き添って、もう体が持たない』とおっしゃって」

まだ深夜だというのに、どこが「一晩」なのだろうか。

お...

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