第370章 痛いか

高山補佐がドアをノックした時、目に飛び込んできたのは、高橋樹のベッドの端に突っ伏している神崎暁の姿だった。彼女の右手は、点滴の留置針が刺さったままの樹の左手によって、固く握りしめられていた。

暁は一晩中、樹に付き添っていた。それまでは気が気でなく、浅い眠りを繰り返すことしかできなかったが、今は張り詰めていた糸が切れたように安堵し、つい深く眠り込んでしまったようだ。

一方、重傷を負い、本来なら眠っているはずの男は、ドアが開く音を聞いた瞬間、何かのスイッチが入ったかのようにカッと目を見開いた。

彼の第一反応は、ドアの方を見ることではない。視線はすぐさま自分の手元へと向けられる——そこには、女...

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