第42章 成人男女、誰が責任を取るのか?

ツーツーツー……

受話器の向こうから、通話が切れた機械的な音が聞こえてくる。

古賀硯司は携帯電話を握りしめていた。あまりに強く握りすぎたせいで、指の関節が白くなっている。

「硯司さん……」小野寺静は古賀硯司を追ってきていた。誰もいない病室と、古賀硯司の極限まで険しくなった顔色を目にする。

彼女は小野寺彩音がこの病院にいると聞き、手が不調だと偽ってわざわざ検査を受けに来たのだ。

古賀硯司が小野寺彩音から離れて自分に付き添ってくれたことに、彼女は少しも驚かず、心は甘い思いで満たされていた。

しかし、自分の手に大した問題がないと知るや否や、古賀硯司が真っ先に立ち去ってしまうとは思いもしな...

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