第62章 境界感のない元旦

太陽の光が人の影を長く引き伸ばす。

二人の影が交差し、まるで無限の絆と絡み合いが存在するかのように見えた。

小野寺彩音はどこか上の空でそれを見ていたが、首を振って我に返った。

「どうして急に来たの?」彼女は隣の男に顔を向けて尋ねた。

「小野寺俊明から聞いた。お前の親父に家に閉じ込められてるってな」

「?」

小野寺俊明はいつの間に家にスパイを仕込んだのだろう?

待って——

「どうして彼があなたに告げ口なんてするの?」

もうすぐ義兄ですらなくなるというのに!

小野寺彩音は少なからず義憤に駆られ、眉をひそめてむっとするその様子には、どこかあどけない可愛らしさがあった。

古賀硯司...

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