第66章 彩音義姉さん、彼らを打て!

古賀硯司は彼女の左手首にある紫翡翠の腕輪に目をやったが、何も言わなかった。しかし、その視線だけで小野寺彩音はなぜか後ろめたい気持ちになった。

他人の贈り物を勝手に賭けの対象にするなど、少々不誠実な行いだった。

だが、古賀硯司相手に誠実さなど語る必要があるだろうか?

「もし古賀様がいらっしゃらなければ、もっと楽しかったのですが」小野寺彩音は古賀硯司の視線に気づかないふりをした。「古賀様はごゆっくりお楽しみください」

古賀硯司は彼女の言葉に呆れて笑ったが、その瞳の奥にはどこか陰鬱な光が宿っていた。

楽しむ?

楽しめるわけがあるか!

古賀硯司の登場により、洛条北兎のこの誕生日パーティー...

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