第7章 今夜は君をもらう

「硯司さん?」

「お前らで楽しんでくれ。会計は俺につけといて」

言葉が終わるか終わらないかのうちに、古賀硯司はもう片腕で小野寺彩音を抱きかかえ、個室を後にしてしまった。

男はシャツの袖を捲り上げ、がっしりとした力強い腕の筋肉を露わにしている。それが女の華奢な体と密着し、視覚的なインパクトは絶大だった。

「なんか、硯司さんって小野寺彩音さんに甘くない? 気のせいかな?」

……

マクラーレンのドアが開けられる。

小野寺彩音はほとんど放り込まれるように車内へと押し込まれた。

次の瞬間、男が乗り込んできて、シートが倒され、ドアが音を立てて閉まる。

小野寺彩音が反応する間もなく、嵐のよ...

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