第87章 彼女を守れないのか?

小野寺彩音の言葉はあまりに皮肉が効いており、一瞬、病室は静寂に包まれた。

古賀硯司はしかし、怒るどころかフッと笑みを漏らした。その笑みには、わずかな得意げな響きと、「お前に何ができる」と言わんばかりのふてぶてしさが混じっていた。

小野寺俊明は、自分がどうかしてしまったに違いないと思った。幻覚を見ているのだ。古賀様がこんな反応をするはずがない。

改めて小野寺彩音に目を向ける。

彼女はフンと鼻を鳴らし、まるで彼の反応などお見通しだったとでも言うような表情をしていた。

小野寺俊明は自分がここにいるべきではないと感じた。自分はまだ、頭の回転が足りない。

小野寺永海と中村盈が入ってきたとき、...

ログインして続きを読む