第90章 軟飯硬飯、私は選ばない

クローゼットの中から現れた庄司文光は、小野寺静のクローゼットに掛かっているドレスの裾を容赦なく踏みつけた。

彼は一メートル九十センチに迫る長身で、小野寺静の顎を掴むと、彼女を見下ろすように品定めする。

瞳が動くたび、その義眼は明らかな機械感を帯び、どこか不気味な恐怖を感じさせた。

彼は陰鬱に言い放つ。「俺に命令しているのか?」

「庄司の若様、貴方の目を一つ奪ったのは小野寺俊明。その小野寺俊明を無罪放免にしたのは小野寺彩音です。仇を討つなら相手を間違えないで! お願いですから、早くここから出て行ってください!」小野寺静は冷たい顔で言った。「命令しているのではありません。貴方のためを思って...

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