第93章 妊娠してからまだ1ヶ月も経っておらず、赤ちゃんはまだ小さい

洛条北兎は小野寺彩音に付き添い、病院へ薬の交換に訪れていた。

医者が新しい軟膏を処方し、洛条北兎は一階の会計で薬を受け取りに行った。

小野寺彩音は診察室が息苦しく感じ、廊下のテラスへ出て風にあたっていた。

戻ろうとした時、後ろへ一歩下がると、誰かにぶつかってしまった——

「すみません、ごめ……」

謝罪の言葉の途中で振り返ると、小野寺彩音は古賀硯司の顔を目にした。

小野寺彩音の口から出かけた言葉はぴたりと止まり、冷めた視線で彼を見つめる。その顔には「どうしてここにいるの」という詰問がありありと浮かんでいた。

「薬の交換か?」古賀硯司は平然と尋ねた。

小野寺彩音は警戒しながら彼を見...

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