第18章

自分の身を守るため、佐藤暖子は急いで藤原宴の腕に抱きついた。

まるで親しい間柄のように振る舞い、「お兄ちゃん、来たの?」

藤原宴は女性が近づくことを一切許さない人物だ。彼は顔を曇らせ、冷たい声で言った。「離せ」

しかし佐藤暖子はまったく聞く耳を持たず、必死に彼に寄りかかった。

彼女は藤原宴にだけ聞こえる声で言った。「助けて、お願い。この人が私を強引に……でも私には逆らえないの。さっき見たことは絶対に言わないで!」

藤原宴は佐藤暖子を見下ろすと、彼女が哀願するような目で自分を見つめているのに気づいた。

一瞬、彼は呆然としてしまった。

奇妙な感覚だった。この女性にはなぜか妙な親近感...

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