第70章

林川東二の唇が何度か動いた。

「彼女が美並に対してあれほどの敵意を抱いているとは思わなかった。まさか美並の周りの人間にまで嫌悪感を抱くなんて」

「……本当に彼女を慰めたいなら、親しい友人を呼んであげたらどうかしら。彼女は都城で大学に通っていたんだから、同級生や友達がいるでしょう。その子たちに説得してもらった方が、私が来るよりずっといいわ」

「提案はしたんだ。でも彼女が嫌がって。笑いものにされるのが怖い、妊娠して流産したことを同級生に知られたくないって」

「……それなら、家族に来てもらいなさいよ。先輩がずっと隠しているのも問題だわ。彼女は今、自殺の傾向まであるのよ。万が一のことがあった...

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