第65章

リビングの空気は一瞬にして凍りつき、誰もが息を潜めた。

白井麗子(しらい れいこ)も例外ではない。彼女は首をすくめ、無意識のうちに一歩後ずさった。

唇をきつく結び、ゆっくりと伏し目がちになる。「私、こんなに聞き分けがいいのよ」とでも言いたげに。

村上信也(むらかみ しんや)は言葉を失い、胸の奥に重苦しい何かが渦巻くのを感じた。眼差しが冷ややかさを増していく。

しばしの沈黙の後、彼は冷たく言い放つ。

「侑里に謝れ」

その命令口調が、かえって白井麗子の反骨精神に火をつけた。彼女は嘲るように口角を上げる。

「嫌だと言ったら?」

村上信也は顎をしゃくり、彼女を見下ろした。

「ならば...

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