第71章

月明かりの下、白井麗子は淡い色のラフな服に身を包み、マンションの敷地から出てきた。

背負っている巨大な画板が、彼女の華奢な体をすっぽりと隠してしまいそうだ。

村上信也は足を止め、両手をズボンのポケットに突っ込んだまま、闇夜に消えゆく女の背中を冷ややかな目で見送った。

彼は目を細める。こんな真夜中に、あの女は画板なんか背負ってどこへ行くつもりだ?

好奇心に駆られ、彼はその足で彼女の後を追った。

本家とマンションの間には公園があり、そこにはライトアップされた噴水がある。白井麗子はその公園に入り、噴水の縁で足を止めた。

深夜の公園には肌寒い空気が漂っていたが、白井麗子は気にする素振りも...

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