第72章

松下曇空は少しの間、眉根を寄せて黙考していたが、やがて口を開いた。

「まあ、そう焦るな。こうしよう、親父さんが帰ってきたら相談してみるんだ」

白井雪子は仕方なく腰を下ろしたが、その眉間には深い皺が刻まれたままだった。

……

白井麗子はソファに座り込んだまま、スマートフォンを睨みつけて一夜を明かした。しかし、藤本健司からの連絡は一向に来なかった。

やがて窓から朝日が差し込み、室内を照らし始めると、張り詰めていた糸が切れたように彼女はぐったりとソファに身を預けた。体も、心も、限界だった。

突如、軽快な着信音が室内に響き渡り、白井麗子の疲労を一瞬で吹き飛ばした。

彼女は慌てて携帯を取...

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