第73章

白井麗子は焦燥に駆られていた。重たいまぶたを無理やり押し上げ、薄暗い部屋の中に一つの窓があることを確認する。

彼女は希望の光を見出したように、壁に手をついて立ち上がり、ふらつく足取りで窓へ向かおうとした。

「へっへっへ……」

突然、部屋の隅から粘着質な下卑た声が響く。

白井麗子の足が止まった。勢いよく振り返ると、薄闇の奥に、肥え太った男が立っているのが見えた。

見覚えがある。松下曇空が白井麗子に紹介した男、藤本大和だ。

彼女が気づいたことを悟ると、藤本大和は卑猥な笑みを浮かべて近づき、その太い腕を広げた。

「よく見りゃ、結構いい女じゃねえか」

白井麗子はとっさに身を翻して避け...

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