第74章

「村上さん? 一体どういう風の吹き回しですか?」

 顔中を血に染めた藤本大和が、村上信也に向かってへらりと笑う。その光景は実に異様だった。

 村上信也の瞳が冷ややかに光る。

「ただの通りすがりだ」

 藤本大和は眉を跳ね上げ、血のついた手で太鼓腹を撫で回した。あたりを見回し、村上信也が単身であることを確認すると、途端に強気な態度に出る。

「村上さんがただの通りすがりなら、話は早い」

 村上信也は口角を微かに上げた。

「どういう意味だ?」

 藤本大和は白井麗子を忌々しげに睨みつけ、頭の傷口を指差して怒鳴った。

「この女が俺を殴りやがったんだ。たっぷりと教育してやらねえとな!」

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