第79章

『月の上』?

白井麗子は目を細めた。その場所に聞き覚えがある。帰国後、初めて佐藤侑里と顔を合わせた場所の近くだ。

白井麗子はしきりに礼を言い、川島京子と共に『月の上』界隈へと急いだ。

正確な番地までは分からず、現地で聞き込みをするしかない。

だが、さすがは顔の広い川島京子だ。数本電話をかけただけで正確な場所を突き止めた。『月の上』の近くにある小さな山荘だという。

今回のデザイン展の主催者は、デザイン業界の重鎮・高島翁。招待客は南町の有力者ばかりだ。

川島京子が友人の伝手を頼りにようやく手に入れた招待状は一枚きり。二人は休む間もなく現地へ向かった。

「麗子、招待状は一枚しかないの...

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