第81章

川島京子は白井麗子を自宅へと連れ帰った。まずは風呂に入れて着替えさせようとしたが、白井麗子はそれを頑なに拒んだ。

浴室には白い湯気が立ち込めている。その霧の中に身を沈めているうちに、寒さで土気色になっていた白井麗子の頬に、ようやく少しばかりの赤みが戻ってきた。

やがて湯気が晴れる頃、服を着た白井麗子が浴室から出てきた。

家の中には夕食の温かい匂いが漂っていたが、彼女は食欲のかけらも見せず、そのまま寝室へと戻ってしまう。

その様子は、誰の目にも危うく映った。彼女は窓辺に座り込み、虚ろな瞳でただ外の景色を眺めている。眼には光がない。

川島京子が背後に近づいても、何の反応も示さなかった。...

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