第90章

時計の針は進み、白井麗子が絵筆を走らせてから既に一時間以上が経過していた。しかし、村上信也が戻ってくる気配はない。

彼女は少し重くなった手首を振り、完成したばかりの絵を眺めて満足げに微笑んだ。

「うん、上出来ね。村上信也にそっくりだわ」

彼女はその絵を村上信也のデスクの上に無造作に置いた。窓から差し込む陽光が彼女の体を包み込み、ふわりとした暖かさが広がる。

両手を広げて大きく背伸びをすると、急に眠気が襲ってきた。

そよ風が心地よく吹き抜け、日差しも柔らかい。

彼女は車椅子を少し前へ進め、村上信也のデスクに突っ伏すと、そのまま眠りに落ちてしまった。

どれほどの時間が過ぎただろうか...

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