第96章

白井麗子は冷ややかに鼻を鳴らすと、相手にする価値もないとばかりに小林の方を向いた。

「行くわよ」

小林は黙って頷き、彼女をエスコートして車に乗せる。

佐藤侑里はそれを逃亡と受け取ったようだ。車のドアの横に立ちふさがり、腰に手を当てて喚き散らした。

「白井麗子、何も言えないの? 怖気づいて逃げるわけ?」

麗子は冷ややかな一瞥をくれると、バタンと音を立ててドアを閉めた。

小林がアクセルを踏み込み、車は無情にも走り去る。

取り残された侑里は、顔色を土気色に変えて立ち尽くしていた。奥歯を噛み締め、憎々しげに吐き捨てる。

「白井麗子! 黙ってるってことは認めたってことよ! 私を怒らせた...

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