第6章 双雄の陥落

正午の陽光が取調室の窓格子から差し込み、床に縞模様を描いていた。だが、その光ですら、室内に漂う重苦しい空気を払拭するには至らない。

私は長テーブルの向かいに座り、黒い制服に身を包んだ王国調査官が分厚いファイルをめくるのを、ただ無心に眺めていた。S級冒険者の死は、やはり王国上層部の注意を引くに至ったのだ。

「エリス様、あなたはセラス大魔導師を最後に目撃した人物の一人です」

調査官は厳粛な面持ちで顔を上げ、鋭い眼差しをまっすぐに私へと向けた。

「あの夜の状況を、もう一度詳しくお話しいただけますかな?」

私は完璧なタイミングで瞳を潤ませ、か細く、震える声で答える。

「あの方は…...

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