第148章 謎の敵意

佐藤健志の眼差しもまた、追憶の底へと沈んでいった。

記憶の彼方にぼんやりと浮かぶのは、赤いリボンを結んだ一人の少女。彼女はケーキを両手で捧げ持ち、彼の隣に腰を下ろした。

「きみも一人なの? ケーキ、食べる?」

少女は屈託のない笑顔で問いかける。

幼き日の佐藤健志は、冷ややかな表情で首を横に振った。

「虫歯だから、いらない」

少女の瞳に失望の色がよぎるが、手元のケーキを見てすぐにまた笑顔を取り戻した。

「じゃあ、お話をしてあげる。さっき青井望くんが教えてくれたんだけど、すっごく面白いんだよ」

佐藤健志が好奇心に駆られて視線を向けると、少女はとてつもなく退屈な怪談を語り始めた。

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