第157章 USBメモリを盗む

森村優衣は焦燥に駆られながら、佐藤健志の会社へと急行した。だが車を降りた瞬間、ハッとする。この動揺を周囲に悟られてはならない。

彼女は深く息を吸い込み、鏡に向かって強張った表情筋をほぐすと、いつもの穏やかな微笑みを貼り付けた。完璧な仮面を被り、オフィスの正面玄関へと歩き出す。

廊下を進むと、佐藤健志の秘書である下村賢太の姿が見えた。

「森村さん、おはようございます。また社長をお探しですか? あいにく、まだ出社されておりませんが」

下村は礼儀正しく挨拶をした。森村優衣は髪を耳に掛け、艶然と微笑む。

「ええ、オフィスで待たせてもらうわ」

社長室へ入ろうとする彼女を見て、下村は少し言い...

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