第163章 意外な出会い

車内では、北村菜々美が先ほどまでの悲劇のヒロインのような泣き顔をかなぐり捨て、冷ややかな本来の表情に戻っていた。

彼女は北村昇太の問いかけを無視し、化粧ポーチを開くと悠然とメイクを直し始める。

「おい、聞いてるのか? 先に答えろよ。北村萌花の様子を探りに行ったんだろう? あいつ、どこまで嗅ぎつけたんだ」

北村昇太は苛立ちを隠せず、菜々美の太腿を乱暴に小突いた。

菜々美はコンパクトをパタンと閉じ、嘲るような視線を父親に向ける。

「お父さん、もしかしてアルツハイマー? 私とあの女の関係、忘れたわけじゃないでしょ。真正面から探りを入れて、怪しまれないとでも思ってるの?」

言い捨てると、...

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