第171章 証拠

青井華の心は、今や混乱の極みにあった。

北村萌花が衆人環視の中で先ほどの出来事を口にしたということは、もはや穏便に済ませるつもりなどないという意思表示だ。

「北村さん、この騒動も元はと言えばあの絵画が原因でしょう? まずはその件を解決しませんか」

青井華は話題を絵画へと逸らすしかなかった。根本的な解決にはならないが、わずかな時間稼ぎにはなる。

北村萌花の口元が、微かに吊り上がった。

「絵の問題を先に片付けたい? いいわよ。じゃあ、誰が私の絵を台無しにしたのか、はっきりさせましょうか」

北村萌花はスマホを取り出し、あの骨董店の社長に電話をかけた。受話器の向こうで、絵が損なわれた事実...

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