第173章 北村萌花が好きだ

佐藤健志の登場に、会場がどよめいた。

下村賢太の瞳には驚きの色が浮かんでいた。まさか佐藤健志本人が、わざわざ足を運ぶとは思ってもみなかったのだ。

対照的に、佐藤真崎の表情には微塵の驚きもない。佐藤健志が今夜現れることを、確信していたかのように。

その様子を見て、北村萌花は事の成り行きを悟った。

佐藤真崎がここにいる理由——それは、佐藤健志に自分か森村優衣か、どちらかを選ばせるためだ。

あの男は、佐藤健志を追い詰める好機を絶対に見逃したりはしない。

北村萌花の視線が、佐藤和也へと移る。

彼の存在は実に場違いだった。その服装から察するに、どこかのクラブから佐藤真崎に無理やり引きずり...

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