第202章 怒れる子供

森村芳行はしばし沈黙し、やがて静かに首を横に振った。

「正直に言えば、最初は確かに君を恨んでいた。君ほどの医術を持っていながら、とね。だが、母さんから聞いたよ。あの日、父さんの無惨な体を目にした君は、全身を震わせ、メスさえまともに握れなかったそうじゃないか。あの極限状態では、執刀などできるはずもなかったんだ」

森村浩人は長く重い溜息を吐いた。その眼は微かに赤く潤んでいる。亡き兄弟の姿を脳裏に描いているのか、その手は小刻みに震えていた。

「浩人叔父さん、もう自分を責めないでください。そんな姿を見たら、父さんも悲しみます」

森村芳行は、森村浩人の体を強く抱き締めた。

「理解してもらえて...

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