第208章 奇妙な酒水

北村萌花は花が綻ぶような快活な笑みを浮かべ、佐藤健志の手に自らの手を重ねた。二人はズボンの裾を捲り上げ、一緒に葡萄の桶へと飛び込む。

今やワイン作りも工場のライン生産が主流となり、製法はより精緻化され、量産も容易になった。だが、こうして足で葡萄を踏み潰すという古来の手法の方が、遥かに情緒的価値が高い。

北村萌花と佐藤健志は桶の中で、子供のように歓声を上げながら葡萄を踏みしめていた。

ふと、北村萌花が桶の外にいる青木絵里香に視線を向けた。

「青木絵里香、あんたも一緒にやりなさいよ! すっごく楽しいわよ」

青木絵里香も少し心が動いた様子だったが、北村萌花と佐藤健志のあまりに楽しげな様子...

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