第215章 演技は真剣に

北村昇太の視線は執拗に青井賢士へ向けられていた。だが、相手の表情はあくまで平然としており、何ら変わった様子は見受けられない。その不気味なほどの落ち着きが、逆に北村昇太の心をざわつかせた。

(一体どういうことだ? 北村萌花の娘が誘拐されたと知れば、青井賢士がこれほど平気でいられるはずがない。まさか、北村萌花はまだ奴らにこの事を知らせていないのか?)

北村昇太が疑心暗鬼に陥っていると、青井賢士がコンコンとデスクを叩き、極めて厳粛な口調で切り出した。

「今回の入札計画だが、私は反対だ。君たちも承知の通り、これほど大規模なプロジェクトとなると、我が社単独では荷が重すぎる。佐藤家クラスの大手企業...

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