第296章 弾がない

佐藤弘之はそのリボルバーを見つめ、震える手を伸ばしたものの、それを手にする勇気はなかった。

佐藤健志の推測通り、佐藤弘之は演じているほど息子のことを愛してなどいなかった。

すべてはその場にいる招待客たちに見せるための芝居にすぎない。

もしこのままテロリストが去って皆が生き残れば、佐藤弘之は今夜の芝居で多くの同情を買うことになる。それは将来のビジネスにおいて極めて有利に働き、人々は彼を義理堅い男だと信じ込み、優先的に取引をしたがるはずだ。

今、ルディはその難題を佐藤弘之の前に突きつけた。この男が息子のために犠牲になる良き父親を演じ続けるのか、それとも偽善の仮面を剥ぎ取られ、衆人環視のな...

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