第317章 尾行

病院を出た北村昇太は、周囲を警戒するように見回し、尾行者がいないことを確認してからタクシーに乗り込んだ。

その後ろ姿を見送るように、新聞に目を通していた無精髭の男がゆっくりと紙面を下ろし、インカム越しに小さく呟いた。

「キツネ、北村昇太が車に乗った。追跡を開始しろ」

青井幸一はそう指示を飛ばすと、新聞を折りたたんで別の車に乗り込んだ。

ありふれた黒のセダンが、タクシーの背後へ静かに滑り込む。

ハンドルを握るキツネから、現在位置の報告が入った。

「隊長、一体どういうことです? なぜ従妹さんはご自分の父親の尾行なんてさせるんですか?」

「まさか、北村昇太の浮気調査ですかね?」

イ...

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