第363章 佐藤和也の助け

二階の階段口で、森村優衣は両手で口を押さえた。視線は一階へ釘づけ。瞳の奥にあるのは、衝撃と恐怖だけ。

(どうして……お兄ちゃんがこんなことに? 優しいお医者さんだったはずなのに。なのに、悪魔みたいに……こんな狂った計画を……)

体が小刻みに震える。それでも、ここを離れられなかった。森村浩人が、どう答えるのか――それを聞かなきゃいけない気がした。

リビングは重い沈黙に沈んでいる。

森村奏良は静かに、父の返事を待っていた。

やがて森村浩人が、ふっと顔を上げて問いかける。

「……研究所の患者はどうする。もう一人、発狂したんだろ。今さら薬を打って、効くのか?」

森村奏良は首を横に振る。...

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