第366章 名医の発言

佐藤健志は母に電話をかけた。だが、出たのは父の佐藤哲也だった。

「おいおい、なんでそんなものが要るんだ? お前ら夫婦生活、うまくいってないのか?」

佐藤哲也の口ぶりは、どこか妙に含みがある。

健志は説明する気などさらさらなかった。あの酒を何に使うのか、細かい用途を語る忍耐はない。ひたすら、ボトルの行方だけを問い詰める。

「捨ててない。お前の母さんは捨てる気だったけどな、まだ使い道があるかもしれんと思って拾い直した」

哲也はそう言いながら、テーブルの上の赤ワインに目をやった。今夜は妻と気分よく過ごすつもりで、わざわざ二杯分、グラスに注いでいたのだ。

「父さん、本当にありがとう。あれ...

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