第374章 密航の北村昇太

密航の段取りを決めてからというもの、北村昇太は胸の高鳴りを押さえつつ、翌日の夜をじっと待った。

そして深夜。北村昇太は病床からそっと起き上がり、足音を殺してドアのところまで行くと、廊下の様子をうかがった。

佐藤健志が寄こした見張りのボディガードたちは、みな舟をこいでいる。眠気に負けた顔で壁にもたれ、ほどなくして本格的に寝入ってしまった。

(ここ数日、従順なフリをしてきたのが効いたな。連中の警戒心が鈍った。今夜が逃げる最高のタイミングだ)

北村昇太は口元をつり上げ、つま先立ちのまま、彼らの前をすり抜けた。衣擦れひとつ立てない。

階段室まで辿り着くと、そのまま一気に駆け下りた。

――...

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