第381章 記憶喪失の佐藤健志

佐藤和也は、川面に人が流れているのを見つけた。枯れ木にしがみついたその男は、血の気の引いた顔をしている。

佐藤和也の気配に気づいた森村優衣が、岩陰からぱっと立ち上がった。

「……あれ、佐藤健志さんじゃない? 早く助けなきゃ!」

佐藤和也が動こうとした、その瞬間。

横から影が弾けるように飛び出し、森村優衣が迷いなく水へ飛び込んだ。ざばっ、と大きな水音。彼女はそのまま佐藤健志へ向かって泳ぎ出す。

佐藤和也は岸からそれを見送り、唇の端をわずかに引きつらせた。

「疲れたって言ってたくせに……泳ぎ、俺より速いじゃねえか」

森村優衣がここまで必死なのは、森村浩人に以前言われた言葉が胸に刺さ...

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