第81章 相変わらずお金が好き

北村萌花は気怠げに二の腕を揉みほぐしながら言った。

「だから言ったでしょ。普段からちゃんと医術の研鑽に集中しなさいって。下らない噂話なんかにうつつを抜かしてないで、自分の目で見たものを信じるのよ。他人の言葉なんて、安易に信じるもんじゃないわ」

森村奏良は虚を突かれたように言葉を詰まらせた。くだらないデマを真に受けて北村萌花に取っていた態度を思い返し、バツの悪さに胸が痛む。

「……これまでのこと、謝るよ」

「はい、謝罪は受け取ったわ」

北村萌花はさっぱりとした様子で、ひらりと手を振ってみせる。彼女は初めからそんなことを気にかけてはいなかったし、当然、彼を責めるつもりもなかった。

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