第123章

衝撃が大きすぎたのか、江口辰はその場に縫い止められたみたいに固まり、扉口に立つ人物をぼんやり見つめたまま、瞬きすら忘れていた。

 入ってきた男も、制御室にいるチビっ子の姿を認めた瞬間、わずかに目を見開く。だが次の刹那、鼻で笑った。

「呵!」

 誰かと思えば――このチビか。

 江口辰を視界に捉えたその瞬間、青木圭は確信した。

 以前、自分に手を上げたガキ。ヒモ家でちらりと見えた影。手首のバンドを盗んだ奴。全部、こいつだ。

 青木圭は長い脚で間合いを詰め、子どもの小さな影へと圧をかける。

「もうくだらねぇ真似はやめろ。今度は逃がさねぇ」

 前は取り逃がした。だが今日は違う。捕まえ...

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