第54章

江口ココの声から感じる冷たさと距離感に、青木圭は目を暗くして問い返した。「どう?具合はどうだ?どこか痛いなら、教えてくれ……」

「放っておいて!」

江口ココは怒りに任せて遮った。怒りと憎しみが、一時的に体の痛みを忘れさせていた。

彼女は上体を起こし「青木圭、私の前で偽善者ぶらないで。私が死ねばいいんでしょ?だったら頭から突っ込んで死なせれば、あなたが手を下す手間も省ける」

青木圭は彼女を見つめ、薄い唇を一文字に結んだ。

心中では不快感を覚えていたが、何も言わずに立ち上がり、水を一杯注ぎ、温度を確かめてから彼女に差し出した。

「まだ体調が良くない。無理するな。まずは水を飲め」

「...

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