第51章

急に立ち上がり、江口羽衣は行ったり来たりと部屋の中を歩き回っていた。まるで立ち止まれば体内の怒りを抑えきれなくなるかのようだった。

さよりは彼女を気にも留めず、大きく伸びをすると、だらしなく実験に取り掛かった。その動きはのろのろとして、明らかに仕事モードに入っていない様子だった。

何とか自分の心を落ち着かせた江口羽衣は、再びさよりに目を向けた。「わかったわ。何を望むのか言ってみなさい。条件はなんでも出して、私にできる限り応えるわ」

危機に直面し、彼女は一時的に我慢するしかなかった。水原音子に頭を下げに行くよりも、目の前のこの娘と条件交渉する方がまだましだった。少なくとも、彼女はまだ自分...

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