第111章

朝イチで現場入りした新藤鈴奈は、スタジオの扉をくぐった瞬間、スタッフがわっと一か所に集まっているのを目にした。何をそんなに騒いでいるのか、妙に賑やかだ。

遠くから彼女に気づいた場務が小走りで寄ってくる。

「鈴奈さん、おはようございます。今日の1本目、水野碧人さんとのシーンなんで、早めにメイク入ってください」

「わかりました」

うなずいて楽屋へ向かおうとした、そのとき。

「鈴奈さん」

人垣の中から名前を呼ばれ、鈴奈が視線を上げると、群衆がすっと割れて津田真由が前へ出てきた。

病み上がりらしい青白さはまだ頬に残っている。けれど目の光は幾分戻っていて、かえって儚げな色気が増したように...

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