第113章

シェリーさんはタブレットから顔を上げ、眉をわずかに吊り上げて、からかうように言った。

「……会いたくなっちゃった?」

新藤鈴奈は少しだけ不自然に視線を逸らす。

「何言ってるの。ただ聞いただけ」

シェリーさんは察していながらも追及せず、またタブレットへ目を落として指を動かした。

「出張じゃない? 電話一本で飛び出してったし、やたら慌ただしかった」

慌ただしい――だから今日一日、彼から一通も連絡がなかったのか。よほど急ぎの用事だったのだろう。

ホテルに着き、個室へ入った瞬間。

新藤鈴奈が真っ先に目にしたのは、上座に座る稲垣征也と、その隣で笑みを浮かべながら話しかけている津田真由だ...

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