第121章

車を降りた新藤鈴奈は、頬を真っ赤に染めたまま、真っすぐ前だけ見て立ち去ろうとした。

「鈴奈」

神園和臣が車内から身を乗り出して呼び止める。

「今夜、そっち行く」

新藤鈴奈は小さく目を瞬かせた。

「夜、用事があるって言ってなかった?」

「用事があっても、会いに行くのは別だろ」

神園和臣はくすっと笑う。

「仕事と彼女なら、当然彼女のほうが大事」

――せっかく、やっと宥めて戻ってきてくれた鈴奈ちゃんだ。目を離すわけがない。

新藤鈴奈は呆れたように彼を睨み、けれど口元は笑っている。

「はいはい。じゃあ早く会社行って。私、行くね」

ひらりと手を振り、くるりと背を向けると、小走り...

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