第122章

新藤鈴奈は化粧台の前に座り、鏡の中の自分をぼんやり見つめたまま動けずにいた。スマホを握りしめる指先は力が入りすぎて、白くなっている。

稲垣征也の言葉を鵜呑みにするべきじゃない。頭ではわかっている。けれど今の彼女は、どうしても迷ってしまっていた。

神園和臣に電話して確かめるのは、彼を疑っているみたいで嫌だ。だからといって何も聞かずにいれば、胸の奥に刺さった棘がずっと疼き続ける。

柿田絵里が自分に敵意を向けていることに、鈴奈は気づいていなかったわけじゃない。ただ、今までは深く考えるのが怖くて、見ないふりをしてきただけだ。

それが稲垣征也に突かれた途端、点と点が一気につながって、疑問が輪郭...

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