第124章

神園和臣はそっと手を引き抜くと、奏太の袖をゆっくりとまくり上げた。そこには大小さまざまな傷が、腕いっぱいに散っている。

どれも深くはない。けれど一目でわかる。――つねられた痕だ。

神園和臣の表情が、すっと硬くなる。胸の奥に、抑えきれない殺気が一気に噴き上がった。

誰かがずっと奏太を虐待していた?

家の使用人か――いや、そんな度胸はない。

だが使用人を除けば、疑える相手が見当たらない。

奏太が連れ帰られてから、柿田絵里はずっと奏太のそばにいたのだ。

病院の人間もあり得ない。昨夜、奏太を搬送してから今まで、自分たちはほとんど病室を離れていない。

そして、以前から引っかかっていたこ...

ログインして続きを読む